ブルーな気持ち

カテゴリ:読書( 3 )




出世するのは大変だ

同じ穴のムジナの物語
銀行を舞台にした物語は、池井戸氏の得意とする分野である。
読者も、組織、職位、担当で人物のイメージを想像しやすいので、物語に這い込み易い。
この作品も、銀行が舞台、主人公と相対する嫌な上司が、悪い取引先と結託して事件を起こし、主人公がその濡れ衣をかぶると言う流れ。
その中に融資担当者の財務分析やバブル以降の金融界の変遷史などがちりばめられており、経済の勉強にもなる。
ただし、勧善懲悪ではないと思う。
今回も宿敵の悪役支店長も最後に家族のことを思い悩む平凡な父親像をさりげなく描いている。
実に読者を飽きさせない憎い構成に出来上がっている。
半沢課長は、支店長の内部告発すべき罪を、次長の地位と交換に黙認し、延々と続く組織内抗争を想像させる最後である。
どうも、すっきりしない読後感が残る。
結局、主人公半沢課長は、正義の味方ではない。
銀行と言う組織の中でうごめく同じ穴のムジナなのではとさえ思えてくる。

銀行サスペンス
密室推理モノとか山岳冒険モノとか法廷サスペンスなどと同じ意味合いで「銀行モノ」が大好き。
銀行暴露モノと言った方が良いのでしょうか。
さすがに現場ではこの10年で様変わりしているでしょうが、他の業界には見られないような減点主義の人事評価、本店エリートと支店兵隊、学閥、ゴマすりなど、自分好みの人間関係ドラマが生まれやすい特殊環境に興味はつきません。
作者の池井戸氏は、私のような銀行内幕フェチの期待に十分答えながらも作風を広げ、ここ最近では直木賞候補に上がるような作品を残されています。
本作も、意地の固まりのような熱血銀行マンが、プライドをかけた勝負に出る一級品のサスペンスとしておすすめできる作品です。

銀行で出世するのは大変だ。

池井戸さんの本を読むと銀行で出世するのは大変だといつも感じる。
本書はバブル期に入行した5人のうち一人が主役。
追い込まれる姿は読んでいても辛かったが、後半は爽快。
金融機関の横領事件は良く聞くが、お金を見ていて、悪知恵が働くとやりたくなるのもわかる気がする。
横領といっても手が込んでいるのだろう。
オレたちバブル入行組池井戸 潤
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by kamematazu1r | 2011-08-03 19:05 | 読書

興味ひとしおでした

あの時代を生きた人間には
主人公は長銀をモデルにした邦銀に勤務してベトナムの駐在員事務所開設に奔走する日本人の真理戸だが、アジアの隼といわれ急成長を遂げる香港の証券会社に勤務する韓国系米人のアンドレ・リーと、ベトナム難民上がりで現在は米国大手銀行に勤務するシンという強烈なサブキャラが配置され、息詰まるような金融ドラマが繰り広げられる。
著者は処女作のトップレフトでもシンジケーションローンの組成に主人公が苦闘する姿が描かれていたが、本書のベトナムの発電所を巡る案件の受注合戦はそれを上回る迫力で、勝負が二転三転する仁義なき世界が実にリアルに描かれており一気に読んでしまった。
また、舞台となる当時のベトナムの社会状況や人々の様子が生き生きと描かれているのも実に興味深い。
前半は平然と賄賂を要求する公務員達の非効率な働きぶりや、外資系会社に対するたかり体質がこれでもかというぐらい描かれており、読んでいて情けなくなってくるのだが、後半では一転してそんなベトナム人の魅力的な一面がクローズアップされており、読み終わってみるとこの国が好きになっているのが不思議だ。
本書の背景となる90年半ばは、山一證券や長銀が破綻した日本のバブルがはじけ始めた、日本の金融マンにとっては厳しい時代の始まりでもあり、そういった観点から感慨深く読むことができた。

いいですね
前作「トップレフト」で、なぜ商社が「最強」とまでいわれるのかなと、その点はややすっきりしなかったのですが、この作で、著者の視点軸がわかったような気がします(別の評に「ローン屋さん」とありましたが、とにかく、ふつうのユーロ債ではないですね)。
それはそれで一つの視点だと思います。
ペレグリンは日本でも債券を発行していたので、興味ひとしおでした。

投資の成功願望がある人だけに向く気がする
成功願望って書いたのは、実際にはもう内容が古いのと億単位の取引っていうのがそういう人が好きそうだから小説として読むならリアリティーが無さ過ぎる(全編を通じて躍動感や緊張感が感じられない)他にも、主人公が奥さんを亡くした理由が忙しくて奥さんの体調の変化に気づかず二日後に変貌に気ずくが既に遅く亡くなる二日間も無関心でいる男の人。
そしてベトナム女性と恋。
男性の成功妄想小説としか読めなかった(この小説を奨励してる人にこういう感想もあると言わせてほしい)アジアの隼黒木 亮
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by kamematazu1r | 2011-08-03 18:26 | 読書

話の進み方の順番も秀逸

人生経験が足りない
しょせんは、おばっちゃまの空想の範囲。
現実はもっと厳しくて、くるしいですよ。
恋愛も暇じゃないとできませんね。

買って損はありません
白石一文さんは何でこんなに人の気持ちを動かすことの出来る小説を書くことが出来るんだろう。
僕が読んだ白石さんの小説は3冊目だけれど、この小説でも気持ちを動かされ、ページはどんどん進んでいった。
話の進み方の順番も秀逸。
ただ、やっぱり、有力政治家の息子という超エリートで、主人公がエリートの話が多すぎるような気もする(本人がそうだから仕方ないかな?)。
ただ、エリートだからとか、エリートじゃないからではなく、エリートでさえ、という感じではあるのかな。

うそを、うそでなくしてしまわないために
ある事実を知らされると、作中に登場する人物に対する見方が劇的に変わる。
そういう事実が上手に書かれている小説を、私は評価する。
冒頭でこう宣言されている。
「駅」には裏と表があり、栄えているのは必ず片側だけだと。
光は同じところにだけあたりつづけ、陰はいつまでたっても陰のままだ。
「パワー・ゲーム」には人をわくわくさせる力があることに疑いはないし、「権力を手に入れたい」という欲望は、知らず知らずと誰もがもっているものなのかもしれない。
ただ、やっぱり、力を行使しない人だったり、みずから身を引いていったりする人の方に、魅力を感じる。
少なくとも小説の世界のなかでは。
「政治」に興味がある人は、登場人物のモデルとなるような政治家を、邪推するという楽しみ方もできるだろう。
そうでない人も、けっして読みやすい小説というわけではないが、最後まで読んでみて欲しいと思う。
必ず、何かを感じるはずだ。
すぐそばの彼方 (文芸シリーズ)白石 一文
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by kamematazu1r | 2011-08-03 16:05 | 読書
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